相続した実家を売却する際には、いくつかの税金を支払わなければいけません。
今回は、相続した実家の売却にかかる税金と、その節税方法について解説します。
税金に関する正しい知識を把握しておかないと、損失を被ったり、トラブルに巻き込まれたりする危険性があるので、ぜひ最後までご覧になってください。
実家の相続から売却までにかかる税金
実家を相続してから売却するまでには、次の4つの税金がかかります。
1つ目は「相続税」です。
相続税は、財産を受け継いだ時にかかる税金です。
ただし、債務や葬式にかかる費用を除いた遺産額が、基礎控除額(課税の対象とならない額)より小さい場合には相続税は発生しません。
基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算でき、この額が正味の遺産額より大きければ課税の対象から外れるため、相続税を支払う必要がなくなります。
2つ目は「登録免許税」です。
実家の名義を自分名義に変更する際には、「登録免許税」がかかります。
登録免許税は「固定資産税評価額×0.4%」で算出でき、固定資産税評価額は市区町村から送られる納税通知書で確認できます。
3つ目は「印紙税」です。
印紙税とは、実家を売却する際に売買契約書に印紙を貼って納める税金です。
税額は実家の売却額によって変わってくるので、実際の売却額に応じて、適切な印紙を貼付するようにしましょう。
4つ目は「譲渡所得税・住民税」です。
実家を売却によって得られた利益のことを「譲渡所得」といい、譲渡所得が発生した場合には、その利益に対して「譲渡所得税・住民税」が発生します。
譲渡所得税・住民税の税率は、不動産の所有期間によって異なり、所有期間が5年以下の場合は「39.63%」、5年以上の場合は「20.315%」を譲渡所得に掛けることで税額を計算できます。
実家の売却にかかる税金を節税する方法
相続した実家を売却する際には、お伝えした4つの税金を支払う必要がありますが、一定の条件に当てはまっていれば納税額を節税できるかもしれません。
ここからは、節税するための2つの方法についてお伝えします。
取得加算費の特例
課税の対象となる「譲渡所得」は、「実家の売却額-(取得費+譲渡費用)」を計算することで算出します。
そのため、「取得費」が大きければ大きいほど譲渡所得の額は小さくなり、その分税額も小さくなる仕組みになっています。
「取得加算費の特例」を利用すると、納税した相続税を実家の取得費に加算できるため、結果として譲渡所得税・住民税の納税額を抑えられるわけです。
3000万円特別控除
実家の売却にかかる税金を抑えるためには、「3000万円特別控除」の適用を受ける方法もあります。
こちらの特例を適用できると、実家の売却額のうち3000万円までには税金がかからないことになるため、かなりの額を節税できます。
ただし、お伝えした2つの節税方法を両方利用することはできないので、注意してください。
まとめ
実家を相続してから売却するまでには、「相続税」「登録免許税」「印紙税」「譲与所得税・住民税」の4つの税金がかかります。
少しでも税額を抑えるためには、「取得加算費の特例」「3000万円特別控除」を適用する方法があるので、相続した実家が一定の条件を満たしているかをしっかり確認しておきましょう。