親の方が高齢になって施設に入ることになった際、今まで住んでいた実家は空き家になってしまいます。
その場合、実家は親の生前に売却するべきなのか、亡くなられた後に売却するべきなのか気になるところですよね。
そこで今回は、親の生前に実家を売却するべきケースと、生前売却を行う際の注意点についてお伝えします。
実家を売却するタイミングでお悩みの方は、この記事を参考に、いつ売却するべきなのかについて検討しましょう。
親の生前に実家を売却するケースとは
生前売却を行うケースはそれほど多くありませんが、どのような場合には、生前に実家を売却するべきなのでしょうか。
ここでは、実家の売却を生前に行うべき4つのケースについてご紹介します。
1.相続においてトラブルが発生しそうな場合
相続人が複数人いたり、相続人同士の仲があまり良くなかったりする場合には、親の生前に実家を売却することが望ましいです。
実家を売却して現金化することで、資産の分配がしやすくなり、トラブルの発生を未然に防止できるでしょう。
2.譲渡税をできるだけ抑えたい場合
実家を売却する際、実家の購入金額よりも売却金額の方が高ければ、売却益に対して譲渡所得税がかかります。
ただし、一定の期間内で条件を満たしていれば「3000万円特別控除」が利用できるため、かなりの額を節税できます。
そのため、3000万円特別控除を利用できる期間内であれば、生前に売却しておいた方が良いでしょう。
3.小規模宅地特例を利用できない場合
小規模宅地特例とは、一定の要件を満たす土地について、相続時に評価額が最大80%まで減額される特例です。
こちらの特例を利用することで、相続税の額をかなり削減できますが、そのためには国税庁によって定められた条件を満たしていなければなりません。
そのため、特例の適用外である場合は相続時のお金がかさむので、相続前に実家を売却すると良いと言えます。
4.実家を受け継ぐ人がいない場合
実家を維持・管理するためには費用がかかります。
そのため、誰も実家を受け継がないことがはっきりしている場合は、生前売却の方がメリットが大きいと言えるでしょう。
生前に実家売却を行う際の注意点
ここまで、親の生前に実家を売却するべきケースについて解説してきましたが、生前売却を行う際には、いくつか注意するべきポイントがあります。
契約不適合責任
契約不適合責任とは、売却した不動産に契約書不記載の不備・不具合が見つかった場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。
契約不適合責任を追及されると、現額や修繕が要求されたり、最悪の場合には契約破棄になったりする可能性があります。
実家は築年数がかなり経過している場合もあり、思いがけない問題が発覚することもあるので、不具合については専門家に調査してもらうようにしましょう。
譲渡所得税
譲渡所得税を節税するためには、3000万円特別控除を利用する方法がありますが、そのためには一定の条件を満たしていなければいけません。
少しでもお得に売却するためにも、3000万円特別控除の要件については、きちんと確認しておくようにしましょう。
まとめ
実家を生前に売却するべきかどうかでお困りの際は、「相続によるトラブルの可能性」「特例を利用できるかどうか」「実家を受け継ぐ人の有無」を基準にして、タイミングを見計らいましょう。
また、実際に売却する際には、契約不適合責任と譲渡所得税について注意したうえで、売却の手続きを進めていきましょう。