相続した物件は、3年以内に売却するべきと聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、税負担額の理由から3年以内に売却した方が良い事例があるのです。
そこで今回は、3年以内に相続した物件を売却するべき理由と売却時の注意点についてご紹介します。
相続から3年以内に売却した方が良い理由!「取得費加算の特例」について
取得費加算の特例とは、相続開始日から3年10ヶ月以内に相続財産を売却すれば、相続税額の一部を取得費に加算することで、譲渡所得税の負担を軽減できる特例です。
譲渡所得税は、以下の方法で計算します。
収入金額-(取得費 + 譲渡費用)
上記の取得費に相続税の一部を加算すると、収入金額から引く金額が増え、その結果所得税の負担額が減るのです。
このように、税負担が軽減されるのが取得費加算の特例です。
しかし、無条件に誰にでも特例が適用されるわけではなく、以下の3つの条件があることを覚えておきましょう。
- 1.相続、遺贈により財産を取得した人であること
- 2.その財産を取得した人が相続税を納めていること
- 3.その財産を相続開始日から3年10ヶ月以内に譲渡していること
この条件に当てはまると、適用となります。
相続した不動産を売却する際の注意点
いくつかの注意点がありますが、今回は厳選した3点をご紹介します。
相続登記の期限
2024年4月1日より、相続登記が義務化されます。
その期限とは、「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、所有権の取得をしたことを知った日から3年以内」と決められています。
義務化が始まるのは2024年以降ですが、その対象となるものは義務化以前に発生している登記も含まれるため、相続登記をしなければなりません。
万が一、正当な理由なくこれを怠ってしまうと10万円以下の過料が課されるので注意しましょう。
換価分割は適切な登記方法を選ぶ
換価分割には、2つの方法があります。
1.共同登記型
不動産を共有のまま売却する方法で、売却代金を共有者が直接受け取り、分配できるメリットがあります。
しかし、共有物の売却となるため売却契約時は共有者全員の立ち合いが必要となり、遠方に住んでいる共有者がいる場合にはデメリットになります。
2.単独登記型
これは反対に、特定の相続人が不動産を一旦単独で所有し、その後他の相続人に分配する方式なので一人で手続きできることが大きなメリットです。
ただし、分配する際に現金をそのまま他の相続人に渡すと贈与になるため、遺産分割協議書に換価分割目的であると明記することが必須です。
法定相続の場合は放置しない
法定相続で共有した不動産は、時間が経つと共有者が増えて所有者不明物件となり、売却が困難になってしまうため、放置せず早めに売却するようにしましょう。
まとめ
今回は、3年以内に相続した物件を売却するべき理由と売却時の注意点についてご紹介しました。
ただ、早めに売却すれば良いということではなく、期限や登記方法に注意して売却することが大切です。
特に、登記方法はメリットとデメリットを踏まえて慎重に判断しましょう。
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