相続した不動産、どうすべき?売る物件と保有すべき物件の見逃せないポイント
いつもコラムをご覧いただき、誠にありがとうございます。松屋不動産販売 家デパの佐伯です。
生きていれば必ずやって来る代替わり。今回は、相続で受け取った不動産のうち、売る物件と保有しておいた方が良い物件とに分けて、記事を書いていきたいと思います。
目次
相続とは?基本の知識を知る
人が一生のうちに築き上げた財産や借金、資産などのすべてが、その人が亡くなった時にどのように扱われるかを規定するのが相続です。
想像以上に複雑な手続きが必要となりますので、きちんと基本的な知識を身につけておくことが大切です。
相続は我々の生活に深く関わることであり、自分自身の将来だけでなく、大切な家族を思うからこそ、しっかりと理解しておきたいものです。
相続の定義とは
相続とは、法律用語で言うと、一定の(法定)相続人が故人の財産を受け継ぐことを指します。
この法定相続人とは、原則として故人の配偶者、子供、両親の順になります。
故人が自分の遺言で特定の人に財産を遺す、いわゆる遺言相続も可能ですが、その場合でも法定相続人が保障されている最低限の財産、遺留分を侵害することはできません。
なお、故人が借金を残していた場合、それもまた相続対象となります。
故人から受け継いだ借金を清算するための手続きも必要となる場合があることを念頭に置くことが重要です。
次に、相続の開始とは故人が死亡した時点です。
この時点で相続の結果が決定され、相続人は自動的に故人の財産や借金を引き継ぎます。
あくまでも法律上の話ですが、現実的には故人の死後に相続手続きが開始され、その結果により具体的な財産分配が決定されるわけです。
相続法(民法における【相続】で規定されている条文の総称のこと)の基礎知識
相続法とは、法律に基づく相続の規定をまとめたもので、相続についての法的な枠組みを提供します。
日本の相続法は、民法に規定されています。内容は様々で、法定相続人の順序や遺言書の作成方法、遺留分や相続放棄についてなど、多岐にわたります。
法定相続人とは、法律が定める相続人の順番のことを指します。
一般的には、配偶者、子、親の順とされています。
これを更に詳しく分けると、配偶者、子そして親、そしてそれぞれの代襲相続人、すなわち配偶者が先に亡くなった場合はその子、子が先に亡くなった場合はその子、親が先に亡くなった場合はその兄弟となります。
遺言書は、本人の意志によって財産が分配される仕組みです。
これにより、法定相続人以外の人に財産を相続させることや、法定相続人が等しく財産を受け継ぐことを避けることが可能です。
相続の手続きと必要な書類
相続の手続きには多くの手続きがありますが、特に注意すべきは、「遺産分割協議」「遺産の申告・相続税の納付」「遺産の名義変更」の3つです。
「遺産分割協議」は、相続人全員が合意の上で行われます。
これには、遺産の内容をリストアップし、誰が何を相続するのかを決定します。
この際、遺産分割協議書を作成し、全員が署名・押印をします。
「遺産の申告・相続税の納付」では、国税庁に遺産の申告を行い、必要な相続税を納付します。これには、相続税申告書が必要です。
「遺産の名義変更」は、遺産に含まれる財産の名義を、故人から相続人へと変更します。
これには、不動産登記、銀行の口座名義の変更、自動車の名義変更など、それぞれ必要となる書類があります。
これらの手続きは複雑であり、特に相続税の申告や財産の評価は専門的な知識が必要です。
場合によっては専門家の助けを借りることをおすすめします。
相続税とは?理解しておくべきポイント
相続税とは、一言で言うと「相続財産がある人が死亡した場合に、財産を引き継いだ相続人が納める税金」です。
その有無、および納税額は、相続財産の総額によって決まります。
それぞれの財産の評価額を合計して相続税の課税対象となる財産価額を求め、その後、相続税表に基づき課税されます。
しかし、計算方法や納税にあたっては様々な特例や対策があるため、知っておくことが大切です。
また、知らない間に相続税を滞納してしまうと、厳しい罰則が待っています。なので、相続税についての理解は非常に重要なのです。
相続税の計算方法
相続税の計算方法について解説します。
まず、基準となるのは相続人が獲得した財産の価格です。この価格を基にして、相続税の額が決定します。具体的な計算方法は以下のようになります。
まず、遺産の総額(各種財産の評価額の合計)を求めます。
次に、法定相続分や遺留分、あるいは遺言書によって獲得すべき財産の価格に各種控除を適用して、最終的な課税対象額を算出します。
そして最後に、課税対象額に対する税額を相続税の税率表に基づいて算出します。ここで計算される額が最終的な相続税の額となります。
相続税の納税方法
相続税の納税方法ですが、まずは相続が開始された日から10ヶ月以内に納税申告を行うことが基本です。
具体的には、相続税の申告書を所轄の税務署に提出し、その結果通知に基づいて納税します。
それをした上で、納税期日が到来するまでに指定された金融機関や郵便局で納税します。財産が現金でない場合や、多額の相続税が課税される場合には、分割納付や納税猶予といった方法を選ぶこともあります。
また、相続税納付後に申告内容に誤りが発見されたり、過少または過大に納税した事実が判明したりした場合も、補正申告を行って税額の再計算および納付の修正を行うことも可能です。
相続税対策と節税方法
相続税対策と節税方法についてですが、ここでは主なものをいくつか紹介します。まず一つは、相続税の基礎控除額は
【3,000万円+法定相続人の数×600万円】ですので、養子縁組を行い、法定相続人の数を増やす方法です。
確かに、基礎控除額が増えるので節税になる事は間違いありませんが、相続人が増えるという事はトラブルの火種が増える事になるかもしれませんので注意が必要です。
次に、生前贈与による対策があります。これは贈与や寄付などを行うことで、死亡時の遺産額を減らし、相続税を節約する方法です。
最後に、信託を利用した対策もあります。これは一部の財産を信託銀行や受託者に委託し、死亡時に子孫に財産を渡す形式を取ることです。
コレは節税対策というよりは如何にして財産を残していくかという考え方です。以上の三つの方法は、法律に基づいた合法的な節税方法ですので、適切に利用することが推奨されています。
相続した不動産を売る理由
相続と一口に言っても、その対象が金融資産である場合と不動産である場合では、発生する問題と対処法が異なることはよく知られています。そこで今回は、相続した不動産を売却する理由について考えてみましょう。不動産の場合、維持管理費用、固定資産税負担、市場価格による価値の変動といった要素が関わってきます。さらに、相続税の納税資金としての使途も見逃せません。
不動産のメンテナンスと固定資産税負担
第一の理由として、不動産のメンテナンスと固定資産税の負担があります。
例えば、一戸建ての家を相続した場合、定期的な修繕やメンテナンスが必要です。これらは年間を通じて発生する費用であり、特に古い建物の場合、その負担は大きくなる場合があります。
さらに、これとは別に固定資産税も発生します。所有しているだけで税金が発生するという性格のため、活用や売却を考えないと負債とかわりません。
あるいは必要以上に広い面積の土地を抱えると、ただでさえ厳しい経済状況が更に苦しくなる可能性があります。
また、独自の特性を持つ不動産の場合、それが価値を生む一方、その特性を維持するためのコストや手間が発生するケースがあります。
例えば景観保護地区に位置する不動産や、歴史的建造物などは、一定の制約があるため、それを尊重しながら管理する必要があるため、メンテナンス費用が通常のものよりも高くなることがあります。
このような観点から、相続した不動産の維持が経済的に困難であると判断した場合、売却を検討すべきでしょう。
不動産の価値と市場価格
第二の理由は、不動産の価値と市場価格の関係です。不動産の価値は、立地条件や建物の年数、需要と供給のバランス、経済状況などにより変動します。
高騰期に購入した不動産を相続した場合、それ以降の価格変動を見て売却を検討する場合もあります。
また、市場価格が高騰している場合や、今後、地価や不動産価格が下落すると予想される場合、売却を選択することで得られる利益も大きくなるでしょう。
相続した不動産の価値は、相続した時点で掴んだ価値と、その後の市場価格の変動で大きな差が生まれる事があります
。固定資産評価額や公示価格などを参考にして、適切な判断を行うことが重要となります。
相続税の納税資金として
また、相続した不動産を売却する理由として重要なのが、相続税の納税資金としての役割です。
相続税は、遺産の価値によってその額が決まるため、高額な不動産を相続した場合、相当な額の税金が発生することがあります。
そして、その相続税を支払うためには、現金資産が必要です。そこで、不動産を売却し、その売却代金を相続税の納税資金として使うケースが多く見られます。
特に、現金資産が不足している場合や、その他の遺産による現金化が難しい場合には、不動産の売却は有効な手段となるでしょう。
ただし、売却には手数料や税金が発生するため、その点も考慮に入れて計画を立てる必要があります。
不動産を売却する際の注意点
不動産を売却する際には、きちんとした手続きを踏まずに行うと、思わぬトラブルに見舞われる可能性があります。
市場価格を適正に把握した上で、適切な価格設定を行うこと、さらには緻密な戦略立案が求められます。
ここでは、具体的な手続きや査定のポイント、売却価格を引き上げるための戦略について詳しくみていきましょう。
不動産売却の手続き
不動産売却の手続きは複雑です。売却を決めた後、まず、すべきことは適切な専門家の選び方です。
不動産売却には、専門的な知識と経験が必要なため、信頼できる不動産仲介業者を選びましょう。
次に行うべきは物件の査定です。これは売却価格を決めるための重要なステップです。購入者が値下げ交渉をする可能性もあるため、適正な価格を設定することが大切です。
契約書の作成、売買契約の締結、引渡し準備と進んでいき、最後に登記手続きとなります。これらの手続きは複雑で専門的な知識を要するため、専門家との円滑なコミュニケーションが重要なのです。
不動産査定のポイント
不動産査定におけるポイントは、物件の広さや立地、築年数などの基本的な要素だけでなく、近隣の相場や市場の動向も考慮することです。
また、リフォームの有無や建物の状態、駐車場の存在など、物件ごとの特性も重要なポイントです。
専門家に査定を依頼する際は、隠れた長所や改善可能な点をきちんと伝えることが大切です。
また、複数の業者に査定を依頼し、評価額を比較することも重要です。このような準備が、販売価格の最適化に繋がるのです。
高額売却のための戦略
不動産を高額売却するための戦略として、まず物件の魅力を最大限に引き出すことが挙げられます。
物件の良さを強調するような写真の撮り方や、間取りの見せ方などに力を入れましょう。
また、物件の周辺環境や生活便の良さなど、立地の評価を高めるための情報提供も重要です。
さらに、より多くの購入希望者と接触することで、競争を生み出し価格を引き上げることも可能となります。
具体的な売却戦略は専門家と相談し、適切に立案していくことが大切です。
但し、過度のアピールは逆効果になることもありますので、適度なアピールが最適解だと思います。
相続した不動産を保有する利点
相続により手に入れた不動産を保有することには、さまざまな利点があるのです。
その一つが、収益性です。特に、貸し出して家賃収入を得ることができます。
また、不動産価格が上昇すればその資産価値も上がりますので、売却すれば大きな収益を得ることが可能なのです。
次に、それが生活基盤となる場所であるなら、その安定感や安心感は計り知れません。また、家族が増えるとき、親族が一緒に暮らすときなど、ライフステージの変化に対応しやすという利点もあります。
以上のようなメリットから、相続不動産の保有は生活設計や資産運用において大きな意味を持つのです。
資産運用の一環として
不動産を資産運用の一つと考えると、その視点は大きく広がります。
例えば、保有資産を増やすために運用するという場合、不動産は他の投資商品と比べて、ハードな資産であることから、価格が下がりにくいという長所があります。
また、不動産を活用して賃貸業を行うと、安定した家賃収入を得ることができるのです。これは、運用資産としては際立った特徴で、市場の変動に左右されにくいという不動産の性質から来るものです。
そのほかにも、将来的に不動産価格が上昇すれば、それ自体の価値が増加しますので、理想的な資産運用といえるでしょう。
安定した家賃収入
さらに詳しく家賃収入についてその利点を考えてみましょう。
不動産を購入し、賃貸に出すことで得られる家賃収入は、大きなインカムゲインを享受することができる点が魅力です。
利益確定が早めで、かつ頻繁であれば、その差利は大きな収益となります。
ただし、家賃収入を得るためには適切なテナントに出会う必要があります。
適切に管理され、メンテナンスされている物件であれば、良質なテナントが集まりやすいです。
このように手厚いサービスを提供することで確実に収益を得ることができるのです。
将来の財産として
さらに、不動産を将来の財産として見るならば、その価値は更に増します。
不動産は資産の一部として保有するだけでなく、生涯にわたり利益を生み出す手段でもあります。
例えば、老後を想定すると、生活の維持や医療費の確保といった用途に使うことができます。
また、次世代への価値の継続という観点からも、一つの不動産が大きな意味を持つことは明白です。
年金だけでは生活が厳しいという高齢者が増加している現代社会において、不動産は安定した収入源として、また、保障として非常に重要な存在であるのです。
将来への不安を軽減し、豊かな人生を送る一助となるのが、不動産保有の真の価値なのです。
不動産保有の際の注意点
不動産保有は多くの人々が資産形成の一つとして選んでいます。
しかしながら、簡単に始められる一方で、知らず知らずのうちに手続きミスや法律違反をしてしまう可能性もあります。
専門家に依頼せずに行う場合、不動産取引に関する法律や手続きの独特のルールを知ることが求められます。
そこで、知っておくべき注意点として、テナント管理、適正管理、評価額の見直しの三つをご紹介します。
テナント管理のコツ
テナント管理は、物件使用料の収入源となるため、その重要性は無視できません。
第一に、テナントを適切に選ぶことであります。
選ぶ際には安定した経済力と長期間使用を望む意欲のあるテナントを選びます。
次に、テナントとのコミュニケーションの取り方についてである。
定期的な連絡や打ち合わせを行うことで、信頼関係を保つことができますし、早期に問題点を把握することも出来ます。
また、テナントたちが滞在する空間を適切に維持することも大切です。
定期的な安全確認をすることで、テナントからの信頼を得ることができます。
不動産の適正管理
不動産の適正管理とは、建物のメンテナンスやリニューアル、そして税金の納付や入居者とのコミュニケーションを適切に行うことだ。
それらを怠ると、値下がりするだけでなく、法律的な問題につながることもあります。
例えば、建物のメンテナンス更新を怠った場合、建物が老朽化し、大きな損害を被ることになるかもしれません。
また、税金の未納や遅延は罰則の対象となります。
そこで、専門的な知識や技術を持つ不動産管理会社に管理を任せるのが一つの手段です。
しかし、管理会社を選ぶ際には、評判やサービス内容、コストをしっかりと比較検討することが重要です。
相続した不動産の評価額の見直し
相続税は、相続した不動産の評価額によって変わりますので、適正な評価額を知ることが重要です。
二次相続を考えて、相続税が高くなりすぎると、売却や資金調達が必要になることもあります。
そのため、不動産の評価額の見直しは欠かせません。
その際には、ローカルの不動産市場の動向や物件の特性などを詳細に調査することが大切です。
一方で、専門的な知識が必要となるため、市場価格を把握し、適切に評価できる専門家の意見を仰ぐこともおすすめします。
また、評価方法によっては評価額が大きく変動することもありますので、適用される評価基準を理解することも必要となります。
まとめ
各章で色々と相続・不動産について色々と書きましたが、結論として、相続が発生しましたら、出来るだけ早い段階で、専門家にご相談されることをおすすめします。
私自身も、相続での不動産売却を何百件とやっておりますが、すんなり行くケースもあれば、揉めに揉めたケースまでいろんな場面を経験させて頂きました。
その中で、売る物件の選択、保有しておく物件の選択と数多くの経験をさせて頂いたので、皆様にとって、最良の選択が出来ると思います。是非、松屋不動産販売 家デパまで気軽にお問い合わせください。