いつもコラムをご覧いただき、誠にありがとうございます。松屋不動産販売 家デパの佐伯です。
今回は、仲介以外で売買される取引のうちで、最近よく耳にする【リースバック】についてお話ししたいと思います。
基本的に、私はリースバック反対派なので、少しネガティブな話が多くなるかもしれませんが、実は結構トラブルが多いのが実情です。もちろん正しい認識の上、ご利用される分には何の問題もありません。
しかし、偽りの情報や事実誤認があったり、情報弱者に対する誤った誘導があったりすると、やはりトラブルになります。
今回は、注意喚起も含めてコラムを作成しますので、今まさに【リースバック】を検討している方は、一度コチラを読んだ上で、進む方向を、ご自宅の売却を冷静に判断して頂きたく思います。
国土交通省が発表している【住宅のリースバックに関するガイドブック】も併せて読んで下さい。
不動産売却:リースバックご利用の是非
不動産を売却する際、一般的な仲介での売却とは別の選択肢としてリースバックという手法があります。これは、自分の所有する不動産を売却した後、その物件を購入した業者からリースで借り戻すという方法です。
この記事では、そのリースバックのメリットとデメリット、一般的な不動産売却とリースバックの違い、そして不動産売却とリースバックの選択基準について詳しく解説します。
リースバックのメリットとデメリット
リースバックには、いくつかのメリットがあります。最大のメリットは、所有から賃貸への移行により、物件を所有しているリスクから解放されることです。
例えば、修繕費や固定資産税等のコストが、賃借人でなく所有者である業者に帰属するため、賃料だけを納めれば良いのです。
また、現金化のための不動産売却と併せて資金繰りを行うビジネスパートナーとしても利用できます。
しかし、リースバックにはデメリットもあります。
一つは、売却後は所有者ではなくなり、使用するために賃料を支払わなければならない点です。
上図のように、売却価格の10%~12%程度になります。
その賃料を売却金額で賄う場合、10年は住む事ができないと思います。良くて7年位、生活費の一部を出してしまうと数年で家賃が払えないようになります。
また、賃貸契約には期間(定期借家契約)が設けられている場合もあるため、契約期間満了後に再度契約を結ばなければならないリスクもあります。
これが継続的なコスト負担となる可能性もあるのです。
一般的な不動産売却とリースバックの違い
一般的な仲介での不動産売却では、物件を手放すことで一時的に大きな収入が入る一方、その後の住居や事業の継続について別途対策を講じる必要があります。
これに対し、リースバックでは売却して得た資金を使って事業や生活を継続させることができるのです。同時に、売却した物件を借り戻すことで、引越す手間やコストを節約できます。
しかし、一般的な仲介での売却とリースバックの最大の違いは、リースバックでは所有権は移転するものの、その居住を維持することが可能となり、そのまま賃貸物件として住み続ける事ができる点にあります。
不動産売却とリースバックの選択基準
仲介での不動産売却とリースバックの選択基準は、いくつかあります。
まず一つは、資金繰りの必要性です。不動産を売却することで手元に資金が入り、その資金繰りをスムーズに行うことができます。また、売却後も物件を利用し続けたいかどうかも重要な選択基準の一つです。
これらを踏まえ、現状の事業や家計の状況、将来のビジョンを見据えて選択することが求められます。
加えて、リースバックを選択する際には、賃料や契約期間、その他の条件にも注意を払う必要があるのです。
一般的に考えて、その物件に住み続けたい明確な理由があれば、リースバックも決して悪いわけではありません。
但し、何となく引っ越すのが面倒とか、何となく住み慣れたところだからと弱含みの理由でリースバックを選択されますと数百万円~1千数百万円の損失を出す事になるので注意して下さい。
明確な理由の一例としては・・・
・あと数年で定年退職の予定で、少し余裕のある生活をして、ここに住み続けたい。定年退職後は生まれ育った街に帰るからリースバックを利用する。
・子供との同居の予定があり、あと数年のうちには子供が建てる2世帯住宅に引っ越す予定。先に建物資金を渡して
やりたいので、リースバックを利用して、住宅資金の贈与をしようと思っている。
このように、ハッキリとした理由や明確な期日がある場合は、リースバックを利用しても良いとは思います。
リースバック終了後のリースバック業者の不動産売却
リースバック業者の多くは、従前の売主(賃借人)との賃貸借契約を結んだ後、ファンドなどにまとめて(数物件)入居者負担付の収益物件として、売却しているケースも多々あります。
長く保有していたとしても、従前の売主(賃借人)が退去されるケースも、これまた多くあります。余程の収益性が見込める物件でない限り、リースバック業者は、その物件を再度自ら売主として売却することになります。
当社は、リースバックをやっていませんが、リースバック業者が更地にして普通に売却している土地を取引した事がありますが、その時に念入りに調査して分かった事をお伝えしていきたいと思います。
更地にして売却されている物件に買付して分かった事
当社に土地購入の相談に来られた方に、ある土地を紹介しました。
下図にある物元業者Cが指定流通機構に売り物件として登録しており、当社が客付け業者として、物元業者Cへ当社のお客様からの購入申し込みを入れました。
当初は、親会社Aの所有になっておりましたので売主は親会社Aと当社のお客様での契約で話を進めておりましたが、いざ契約という段になって、急にグループ会社のB社を三為契約で入れて欲しいと言って来ました。
三為契約と言うのは、【第三者の為にする契約】という新しい中間省略登記を利用した契約のことで、親会社A社-グループ企業B社間の契約があり、所有権の移転はまだ完了していない状態で、グループ会社B-当社のお客様間で契約を行い、A社-B社の登記を行わず、当社のお客様がB社に代金を支払うと、A社から当社のお客様へ所有権移転を行います。このような契約に急になったものですから、当社のお客様に迷惑をかけられないので、その企業グループを徹底的に調べました所、下図のような仕組みになっている事が分かりました。
元々の土地の所有者(従前の売主兼賃借人)がリースバックで売却したのが、令和3年中(明確な日は伏せておきます)で、令和4年中に退去されたのち、更地にして親会社Aが売主として売却に出しています。その間に親会社Aは信託受益権をファンド会社に譲渡して利益を得ています。
いろいろと調べて、その物元業者も中間省略で登場するグループ企業B社も、ファンド会社も全部親会社Aのグループである事が分かりました。
特段、当社のお客様が損をすることが無かったので、売買は慎重に行いましたが、皆さんもよく知っているリースバックをやっている企業がグループ企業で取れる利益は全部取るというスタンスでやっているかと思うと少々あきれてしまいました。
リースバック業者は絶対に損をしない
リースバック業者は絶対に損をしない。その仕組みは上図でも、冒頭付近の記事でも書いた通りです。
・市場で取引される金額の70%程度(最低は市場価格の60%程度)で物件を購入している
・年間賃料は、買った値段の10%~12%に設定しているから資金回収も早い
・ファンド会社にまとめて売却する(数件から数百件を)またはグループにファンド会社を設立し譲渡して利益を得る
・信託受益権を譲渡した後も所有権はリースバック業者が持っており、市場価格(買った金額+30%利益)で売却
・他にグループ企業があれば、売主の仲介手数料もグループ内、三為契約でグループ企業にも利益を付替えできる
・全国展開しているフランチャイズ店舗から情報をかき集めて、新しいリースバック案件を展開
悲しいかな、従前の売主様は自分が売った土地がこうなっていることに気付いているのでしょうか?
リースバックはやっぱり好きになれない
当社はリースバックをやっていません。この先も当社がやる事はないでしょう。
もちろん善良なリースバック業者も多いとは思います。でも、その仕組みやスキームを垣間見てしますとなんとも考えさせられます。
もちろん今回のケースの従前の売主様もご事情があった事でしょう。
しかし、冒頭云ったように明確な理由なくリースバックを選んでいたとするならば、残念でなりません。当社に先にご相談を頂いておれば、もっと多くの資金を残せたのではないでしょうか。
やっぱりご事情がいろいろとあったとしても、私は不動産を売却されるのであれば、【仲介】で売却をされるのが最良であると思っています。
不動産を高く売るための仲介選び
売却する不動産を高く売ることは、資産価値を最大化するための重要なステップです。
これを達成するための鍵の一つは、適切な仲介業者を選ぶことです。確かな知識と経験を持つ仲介業者は、不動産市場の流動性とテクニックを活用して、あなたの不動産を適正な価格で売却するお手伝いをします。
しかし、業者選びは容易なことではありません。どの業者が良いのかを見分けるためには、いくつかの基準と評価について知っておくことが大切です。
仲介業者選びの基準
不動産の仲介業者選びには、いくつかの基準があります。最初に、業者の評判やお客様の声をチェックします。これには、過去のクライアントからのレビューや評価、宅地建物取引士の有無、過去の実績などが含まれます。
次に、業者が提供できるマーケティング戦略を確認します。具体的には、広告展開の効果や、物件を高く見せるためのホームステージング提案や既存顧客数などがあるでしょう。
最後に、業者が持つ不動産市場に対する深い知識と経験が必要です。これらの基準を満たす業者を選ぶことで、不動産の売却がスムーズに進行し、適正な価格で売ることが可能になります。
評価の高い仲介業者の特徴
評価の高い仲介業者には、いくつかの特徴があります。まず、高い専門知識と豊富な経験を持っています。彼らは不動産市場の流動性とトレンドについて的確な知識を持ち、それを活用してクライアントの利益を最大化することができます。
また、評価の高い仲介業者は、顧客との良好なコミュニケーションを確保します。これは不動産の売却をスムーズに進め、問題が発生した場合も適切に対応するために重要です。
最後に、一貫した成果を上げていることも評価の高い仲介業者の特徴です。これは彼らの技術と努力が結果を産み出している証だといえるでしょう。
仲介業者とのコミュニケーションの必要性
仲介業者とのコミュニケーションは、不動産売却の過程でとても重要です。コミュニケーションを通じて、自身の売却目的や不動産の特性、希望する金額等を正確に伝えることができ、それに基づいたマーケティング戦略を練ることが可能になります。
また、仲介業者からのアドバイスや市場情報を得ることで、適正な価格設定や売却タイミングを見極めるのに役立ちます。
仲介業者と正確なコミュニケーションをとることで、自身の不動産を最高の条件で売却することが可能となります。コミュニケーションの重要性を理解し、積極的に関与していくことが求められます。
不動産売却の基本的な流れ
不動産の売却は、一見煩雑なプロセスに見えますが、その基本的な流れを理解しておくと、スムーズに進めることが出来ます。
まず、不動産の売却は、不動産の良い点・悪い点をしっかりと分析・査定をして、売却価格を設定、販売活動を行い、適切な契約を締結し、取引が完了するまでの一連の流れです。
正しい不動産評価のためのポイント
不動産の評価とは、物件の価値を把握するための重要なプロセスです。評価の結果は、物件の売却価格を設定する際の基準となります。
正しい評価を行うためには、いくつかのポイントを把握することが必須となります。
まず、物件の場所や建物の状況を評価することが大切です。立地条件、近隣環境、周辺の施設や交通機関の利便性、建物自体の設備や構造等、多くの要素が価値を決定します。
続いて、物件の市場価格も把握しておくべきです。不動産業者やネットの情報を利用して、同じくらいの広さや条件の物件がどのくらいの価格で取引されているか調査することが重要です。
直近の成約事例や現在抱えているお客様のニーズなども取り入れて市場の価値を見極めていきます。
販売活動と交渉の進め方
不動産売却は、適切な販売活動と交渉が成功の鍵となります。具体的な販売戦略は物件の特性や狙うターゲット層によりますが、物件の魅力を最大限に引き出す広告や、正確な情報提供が必要です。
物件の売却を決めたら、まず現地の不動産業者やインターネットの物件情報サイトなど多様な手段を活用して広報します。その際、物件の特長や周辺情報、物件の写真など、購入者が知りたい情報を細かく提供することが大切です。
また、購入を希望する人が見つかった時は、交渉に入ります。価格、引き渡し日、その他条件など様々な点で交渉を行います。この交渉はプロフェッショナルである不動産業者に任せることが一般的ですが、自身でもくわしく調べておくと良いでしょう。
契約から売却までの手続き
契約(買付)が成立したら、次に手続きに移ります。
まず、売買契約書を作成し、根拠となる物件の各種書類(登記簿謄本など)を準備します。
契約書は、不動産売買の条件や責任範囲を明確に記載したもので、双方で同意のうえで署名・押印します。
その後、売主は物件を引き渡し、その代金を受け取ります。買主は金銭面の手続きを行い、買主名義への登記を行います。しっかりとした契約書を作り、それに基づいて手続きを進めることでトラブルを防ぐことが可能です。
以上が基本的な流れであり、売却したい物件や売却者の状況によって、手続きの詳細は変わることもあります。プロの不動産業者に相談することで、適切なアドバイスをもらうことが可能でしょう。
不動産売却のQ&A
あなたが不動産を売却する際に役立つ情報をまとめています。不動産売却には様々な法律やルールが関わってきます。
また、価格設定や売却方法の選択など、重要な判断を求められる事柄があふれています。
そしてそれぞれには、多くの疑問や悩みがあるでしょう。そこで本セクションでは、不動産売却に関するよくある質問をQ&A方式でご紹介します。
不動産売却のよくある質問
不動産売却にあたり、様々な疑問があることでしょう。「どのくらいの価格で売れるのか」「任意売却とは何か」「売却益が出た場合の税金はどうなるのか」など、多くの疑問が寄せられています。また、売却のタイミングや、購入希望者との交渉の際にどのような心構えを持つべきかといった質問もあります。こうした質問への答えを明確にすることで、売却の流れをスムーズに進め、不安を解消していきます。
是非、松屋不動産販売の家デパ各店舗にご連絡下さい。一つ一つ丁寧にお答えさせて頂きます。
仲介業者選びの質問
不動産売却には必ずと言っていいほど、不動産仲介業者の選択が関わってきます。
「どの仲介業者を選べばいいのか」「どのような基準で選べばいいのか」などの疑問があります。
仲介業者による価格評価、売却実績などを基に選定することもありますし、豊富なネットワークをもっている業者を選ぶ方が有利な場合もあります。
また、他のクライアントからの評判や手数料の高さなども選択の参考になります。
私が思う仲介業者選びの答えとしては、他のコラムでも書いておりますが、その業者・その担当者が、善良でウソが無いという事が最初に来ると思っています。
冒頭に、リースバックのトラブルをご紹介しましたが、行政に通報するようなトラブルを起こすような業者は善良でしょうか。この善良であるという事が根本にない業者は、きっとトラブルを起こし続けるのだと思います。
リースバックについての質問
「リースバック」という言葉は、不動産売買においてはそれほど一般的に聞こえるものではないかもしれません。「具体的にどのような仕組みか」、「どのようなメリット・デメリットがあるのか」などの問い合わせも少なくないです。
繰り返しとなりますが、リースバックは自己所有の不動産を売却した後でも、借主としてその不動産を引き続き使用することを指します。売却による資金繰りを円滑にしながら、引き続き不動産を使用することができるというメリットがある一方で、所有権を失うことにより自由度が制限されたり、受け取る売買代金が低下したりする可能性もあります。
くれぐれもリースバックをご利用される時は、ご親族や我々でも結構ですので、ご相談をしてから利用されることをおすすめします。
まとめ
今回は、不動産売却のひとつリースバックにスポットライトを当てて話をさせて頂きました。
結論としましては、不動産の売却を昔からの王道である【仲介】でされることをおすすめします。
リースバックは、売主様が損をして、リースバック業者とその関連企業が潤うようになっている仕組みです。
国土交通省や国民生活センター(国が運営)、消費者センター(地方公共団体が運営)などに多くの苦情やクレームが、このリースバックに関する件で寄せられています。
リースバック契約を結んでからでは【時すでに遅し】です。
やめる場合は、過剰な違約金などが発生してしまいますので、くれぐれもご注意ください。