
不動産売却を検討されている方は、「予想外のトラブルが発生するのでは?」といった不安を抱えていませんか?
不動産売却では様々なトラブルが発生する可能性があります。
売却経験のない方にとって、どのようなトラブルが起こり得るのか把握しておくことは重要です。
本記事では、不動産売却で実際に起きやすいトラブル事例とその回避方法について詳しく解説します。
売却を失敗せずに進めるためのポイントを押さえて、スムーズな取引を実現しましょう。

監修者
松屋不動産販売株式会社
代表取締役 佐伯 慶智
住宅・不動産業界での豊富な経験を活かし、令和2年10月より松屋不動産販売株式会社にて活躍中。それ以前は、ナショナル住宅産業(現:パナソニックホームズ)で8年間、住友不動産販売で17年間(営業10年、管理職7年)従事。
目次
不動産売却で起こりやすいトラブル事例を紹介
不動産売却では様々なトラブルが発生する可能性があります。
- 契約に関するトラブル
- 金銭に関するトラブル
- 瑕疵に関するトラブル
- 重要事項の説明に関するトラブル
- 引き渡し時のトラブル
この記事では、不動産売却の際のトラブルについて詳しく説明していきます。
契約に関するトラブル
不動産売却において契約に関するトラブルは最も多く発生します。
契約書の内容理解不足や説明不足が原因となるケースが多いため、注意が必要です。
不動産仲介業者による囲い込みのトラブル
不動産仲介業者による「囲い込み」は、売主にとって大きな不利益となる可能性があるトラブルです。
囲い込みとは、特定の不動産会社が物件情報を独占し、他社に情報を公開せずに取引を進めようとする行為を指します。
囲い込みが行われると、物件の露出が限定されるため、買い手が見つかりにくくなり、結果的に売却価格が下がったり、売却期間が長期化したりするリスクがあります。
特に専任媒介契約や専属専任媒介契約を結んでいる場合は注意が必要です。
金銭に関するトラブル
不動産売却において金銭に関するトラブルは深刻な問題に発展しやすいため、特に注意が必要です。
ここでは代表的な買主と売主の間での価格設定に関するトラブルについて詳しく紹介します。
売却価格に関しては、当初の査定額と実際の売却価格に大きな差が生じるケースが多くあります。
これは市場状況の変化や物件の状態、売却急ぎなどの要因によって引き起こされることがあります。
トラブルを避けるためには、複数の不動産会社から査定を取り、市場相場を正確に把握しておくことが重要です。
買主と売主の間での価格設定に関するトラブル
不動産売買契約における最も一般的なトラブルは、価格設定に関する問題です。
売主と買主の双方が不動産市場を適切に理解し、適正な価格で取引を進められれば問題は生じにくいものの、売主が市場価値より不当に高い価格を設定したり、反対に買主が不当に安い価格を提示したりすることで、双方の主張が平行線となり、交渉が進展しなくなることがあります。
価格設定の誤りは、より深刻な問題を引き起こす可能性があります。
たとえば、提示価格では購入できないものの、交渉により適正価格であれば購入を検討したいという希望者との間で、長期にわたる価格交渉が必要となるかも知れません。
また、交渉が進んだ後に最終的に取引が中止となった場合、貴重な時間を失うだけでなく、新たな購入希望者を探さなければならないという事態に陥ります。
さらに、このような状況では、物件が長期間にわたって売れ残っているという印象を与えてしまい、結果として本来の価値よりも低い価格での売却を余儀なくされます。
こうした問題を防ぐためには、周辺地域の不動産市場価格を十分に理解した上で、適切な価格設定を行うことが不可欠です。
ただし、不動産取引に不慣れな方が市場を正確に理解し、適切な価格設定を行うことは容易ではありません。
そのため、信頼できる不動産仲介業者を選定し、その助言を得ながら慎重に価格設定を行うことが、トラブル回避の重要なポイントです。
瑕疵に関するトラブル
不動産取引における「瑕疵」とは、傷や不備を含む、通常あるべき状態から逸脱した欠陥が生じている状態を指します。
以前は、引き渡した不動産に瑕疵がある場合、売主は瑕疵担保責任を問われていました。
この瑕疵担保責任は、買主が不動産を本来の目的で使用できないことに対する損害賠償か契約解除を求めるものでしたが、「瑕疵」という抽象的な概念に基づき、かつ買主自身の負担が大きい選択肢に限られていたため、2020年の法改正で大きく見直されました。
現在は「瑕疵」という専門用語を用いず「契約不適合責任」という名称に改められており、これまで判例の積み重ねによって判断されていた基準が明文化され、また買主の救済手段も拡充されることとなりました。
買主の選択肢が拡大されたことは法改正の大きなメリットですが、一方で売主には新たな対応が求められます。
特に、想定されるトラブルについては事前に契約書に明記し、双方の合意のもとで契約を締結することが重要です。
中古住宅の場合は、気付かないうちに劣化や破損が進行していることも多いです。
そのため、売主は可能な限り事前に建物の点検を実施し、潜在的な問題を把握しておきましょう。
重要事項の説明に関するトラブル
重要事項説明書は、不動産売買契約の締結前に買主に対して物件の状況を詳細に説明する重要な法定書類です。
この書類には、不動産の所在地や面積、構造といった基本情報に加え、売買価格、手付金、税金に関する基本的な事項も記載されています。
この制度の本来の目的は、売主が「説明した」と考え、買主が「説明を受けていない」と認識するような、双方の認識の齟齬を防ぐことにあります。
特定の立場を保護するためではなく、取引の透明性を確保するための仕組みといえます。 しかし、現行の民法では、重要事項説明書に記載されていない内容や、説明を受けていない事項については、多くの場合、売主が責任を負うことになります。
そのため、マイホームを売却する際には、記載内容を慎重に確認する必要があります。
特に注意すべき点は、契約不適合となる可能性のある事項です。
例えば、建物の破損や汚損の存在、あるいは売却予定の不動産が持つ特有の状況(周辺の騒音や臭気など)についての記載が重要です。
具体例を挙げると、隣接地に焼肉店がある場合、調理による煙や臭い、客の話し声などが生活に影響を与える可能性があることを明記しなければ、あとから「知らなかった」と責任を追求される可能性があるのです。
このような要因について、買主が事前に了承した上で契約を締結したことを重要事項説明書に明記しておくことが、売主にとって重要なリスク管理となるのです。
引き渡し時のトラブル
不動産売買契約における引き渡し時のトラブルは、主に二つのパターンで発生します。
- 買主の資金準備不足による代金支払いの問題
- 設備の不具合や契約不適合責任に関する問題
資金面のトラブルについては、買主が購入資金を十分に確保できていないケースや、住宅ローンの審査が予定通り進まないケースなどが典型的です。
このような事態を防ぐためには、不動産仲介業者との緊密なコミュニケーションを通じて、資金計画の進捗状況を常に確認しておくことが重要です。
また、物件の引き渡し時には、設備の動作確認や建物の状態確認を丁寧に行う必要があります。
特に中古物件の場合、引き渡し後に不具合が発見されると、契約不適合責任の問題に発展する可能性があります。
そのため、売主は事前に建物の状態を十分に確認し、必要な修繕や点検を実施しておくことが推奨されます。
これらのトラブルを未然に防ぐためには、不動産仲介業者との密な連携を保ちながら、物件の準備と確認を入念に行うことが重要です
不動産売却時のトラブルを回避するコツ
不動産売却時のトラブルを回避するための方法はいくつかあります。
- 信頼できる不動産仲介業者を選ぶ
- 契約書の細部に目を通し内容を確認する
- 日程管理を行い計画的に進める
- 購入者のクレーム対応に備え保険や保証を確認する
まずは信頼できる不動産仲介業者を選ぶことです。
不動産を売却するための買い主探しから契約の締結まで仲介業者に任せることになるので、不動産仲介業者がしっかりとしていることが重要です。
また契約書に最後まで目を通し、しっかりと内容を理解することも必要です。
さらに、日程管理はしっかり行い、スケジュール感を理解することも求められます。
クレームやトラブルを100%防ぐことはできないため、保険や補償を確認し、まずは身を守る準備をしておくことも重要になるでしょう。
こうした備えが結果として、トラブルを未然に防ぎ、また、トラブルが発生した場合の対応をスムーズに行うことにつながります。
信頼できる不動産仲介業者を選ぶ
不動産売却を成功に導く最も重要なポイントは、信頼できる不動産仲介業者の選定です。
一般的に有名企業の名前を重視しがちですが、実際にはフランチャイズとして運営されているケースも多く、ブランド名と実際のサービス品質が必ずしも一致しないことを理解しておく必要があります。
信頼できる不動産仲介業者は、取引実績、市場での評判、顧客からの口コミといった実績に基づいて選びましょう。
不動産取引は物件の種類や地域特性によって大きく異なるため、自身の物件と不動産仲介業者の得意分野が合致していることが望ましいです。
また、担当者との相性も重要な選定基準になります。
実際のコミュニケーションを通じて、対応に違和感はないか、質問に対して誠実に回答してくれるか、不快な印象を受けることはないかなど、細かな点にも注意を払う必要があります。
担当者との相性の問題など、ささいなことと思われがちですが、決して軽視すべきではありません。
初期の段階での小さな違和感が、取引過程で大きな問題に発展する可能性もあります。
そのため、不動産仲介業者と担当者の選定は、慎重に時間をかけて行いましょう。
契約書の細部に目を通し内容を確認する
不動産売買契約書は細部にまで注意を払い、内容を丁寧に確認しましょう。
不動産取引の専門知識は不動産仲介業者が持っていますが、契約書の確認は専門知識の有無ではなく、分からない点について不動産仲介業者に積極的に質問し、丁寧な説明を引き出せるかどうかが重要です。
このコミュニケーションの質が、後のトラブル防止につながります。
特に注意すべき点は、重要事項説明に関する部分を除き、売買後に物件でトラブルが発生した場合、その責任は主に売主が負うということです。
また、物件について最も詳しいのは所有者である売主自身です。
気になる点や、契約書に記載すべき事項が適切に反映されているか、自身の経験に基づいて確認することが必要です。
もし契約書の内容が売主の認識と異なる場合は、他の不動産仲介業者に相談するなど第三者に確認を依頼することも検討しましょう。
日程管理を行い計画的に進める
不動産売却における日程管理は、トラブル回避の重要なポイントです。
特に多く見られる問題は、売主が「不動産仲介業者に依頼すればすぐに売れる」と思い込んでしまうことです。
これでは、仲介業者が適切に活動していても、認識のずれから不必要なトラブルが発生することがあります。
効果的な売却活動を進めるためには、売主自身が明確なスケジュール感を持つことが不可欠であり、具体的な売却希望時期を設定し、それに向けて必要な作業を計画的に進めていく必要があります。
売却の最終期限が明確になれば、そこから逆算して不動産業者との打ち合わせ、内見への対応、必要書類の申請期間などのタイムラインが見えてくるでしょう。
購入者のクレーム対応に備え保険や保証を確認する
万全な準備をしていても、トラブルを完全に防ぐことは難しく、問題のない住宅であっても、購入者からクレームを受ける可能性はあります。
そのため、適切な保険や保証への加入を通じて、リスクに備えることが重要です。
クレーム対応は、たとえ売主側に非がない場合でも、多大な精神的・時間的負担を伴うものです。
そのため、保険加入により専門家による対応が可能となれば、それは十分に価値のある投資といえるでしょう。
特に契約不適合責任に関しては、住宅の瑕疵をカバーする瑕疵保証保険が存在します。
この保険を活用することで、引き渡し後のクレームに対して適切な対応ができます。
不動産売却時にトラブルになった際の相談先
不動産売却時にトラブルが発生した場合、適切な相談窓口を選択することが重要です。
不動産会社との問題が生じた場合、直接担当者の上司に相談する方法もありますが、より効果的な解決を図るためには、早い段階で本社の顧客相談窓口に連絡することをお勧めします。
また、各地域には不動産取引を監督する宅地建物取引業協会(宅建協会)が存在します。
この協会では基本的に無料で相談を受け付けており、不動産取引全般に関する相談や、契約書面・重要事項説明書の内容確認などのサービスを提供しています。
なお、不動産適正取引推進機構も無料の相談窓口を設けており、トラブル解決のサポートを行っています。
ただし、これらの機関は弁護士が対応するわけではないため、提供されるアドバイスは一般的な知識に基づくものに限られる点に注意が必要です。
より具体的な解決を目指す場合は、弁護士への相談や消費者センターまたは国民生活センターの利用を行い、必要に応じて法的手続きの検討をすることになります。
このように、最終的には裁判による解決も視野に入れる必要がありますが、その前段階で適切な相談窓口を活用し、円満な解決を目指すことが望ましいといえます。
まとめ
ここまで見てきた通り、不動産を売却する場合、予期せぬトラブルが発生することがありますが、適切な知識と入念な準備を行えば避けることもできるのは事実です。
何より重要なのは、自らが所有する不動産の状況をよく理解し、不動産会社としっかりとコミュニケーションを図り、契約書類をしっかりと整え、そして明確なスケジュール感を持って挑むことです。
もちろん、不動産における隠れた瑕疵など見逃すこともありますし、生活の中で気づかないことも往々にしてあります。
こうしたものが後々のトラブルとなることも考えられることから、適切に対応していかなければなりません。
ただし、そうではない部分についてはしっかりとした準備を行えば、未然に防ぐことができるのも間違いありません。
不動産の取引においては「不動産仲介業者がしっかりしていれば防げたはず」というトラブルも珍しくありませんが、そうした問題を解消するためには、不動産仲介業者の選定であったり、入念なコミュニケーションにより解決されることもあります。
何より不動産を売却するということは人生でも珍しい経験になるため、知識がないのは事実だと思います。 ただ、慎重な姿勢がトラブルを防ぐということも考えなければなりません。
今回の記事が、そうした助けの1つになれば幸いです。