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不動産売却コラムCOLUMN

スムーズな不動産売却:死因贈与契約と始期付所有権移転仮登記の使い方

親が子に住宅購入資金を贈与したり、親の所有する土地に子が家を建てたりすることはよくあります。しかし、そのままでは将来の相続時にトラブルが発生する可能性があります。そこで、「死因贈与契約」と「始期付所有権移転仮登記」を活用することで、親から子への不動産名義の移転が簡単に行え、将来の不動産売却もスムーズに進めることができます。本記事では、これらの手続きを用いて確実に財産を譲渡する方法を詳しく解説します。具体的な手続きの流れや相続トラブルを避けるためのポイントを紹介し、読者の皆様が安心して財産管理を行えるようにサポートします。相続時の不安を解消し、子供が安心して不動産を管理・売却できる方法を学びましょう。

 

 

死因贈与契約と始期付所有権移転仮登記の記事を書くに至る思い

不動産仲介の仕事をしていますと、何ともやるせない気持ちになる事があります。『売りたいけど共有者が反対している』、『相続が発生して親族で揉めている』、『自宅に兄弟の持分が入り、将来が心配・・・』など、相続に端を発する揉め事やトラブルのご相談をいただく事が多くあります。基本的に、我々のところに相談を持ち掛けて頂くタイミングは、すでに相続が発生している、または遺産分割協議や相続登記が完了した時期が多く、実は、そこから対策できる事はある程度限定されてしまい、解決するのに時間が掛かったり、協議がまとまらなかったりします。このような相続事案を何百件、何千件と経験してきた中で、相続対策のうち分割対策をしっかりしていく事が非常に大事であることに気付かされました。よって、過去に相続発生前にご相談をいただき、その対策として、分割対策を施し、後日その不動産を売却することが出来た事案をもとにコラムを作成していきたいと思います。

 

相続では大きく3つの対策が必要になります。

死因贈与契約とは?

死因贈与契約とは、贈与者が死亡した際にその財産が受贈者に移転する契約のことを指します。この契約は、贈与者の死亡を条件として効力を発生するため、生前贈与とは異なり、相続トラブルを未然に防ぐ手段として有効です。死因贈与契約は、公正証書による作成が推奨されており、これにより法的な確実性が高まります。

 

死因贈与契約の定義

死因贈与契約は、贈与者が死亡した時点でその財産を受贈者に無償で譲渡する契約です。これは遺言とは異なり、贈与者と受贈者の双方が契約に合意する必要があります。この契約により、贈与者の意思を確実に反映し、相続時のトラブルを回避することができます。

 

死因贈与のメリットとデメリット

メリット

  • 相続トラブルの回避

贈与者の明確な意思が契約書に記されるため、相続時のトラブルを防ぐことができます。

  • 確実な財産移転

始期付所有権移転仮登記と併用することで、贈与者の死亡後に自動的に財産が受贈者に移転します。(手続きは必要)

  • 手続きの簡便化

公正証書を用いることで手続きが簡単になり、法的な確実性も高まります。

 

デメリット

  • 手続き費用

公正証書の作成や登記にかかる費用が発生します。

  • 変更の難しさ

一度契約を結ぶと変更が難しくなるため、慎重な検討が必要です。

 

相続・遺贈との違い

相続は、遺言書が無ければ法定相続人による協議により財産の引継ぎをおこなう事を指します。

遺贈は、遺言書に基づいて財産を特定の人(法定相続人以外も可)に譲渡する方法です。相続・遺贈と死因贈与契約の主な違いは、以下の通りです。

  • 契約の有無

死因贈与契約は贈与者と受贈者の双方が合意する契約であるのに対し、相続(遺言書ありの場合)・遺贈は遺言者の一方的な意思表示です。

  • 法的効力

死因贈与契約は契約書に基づいて法的効力が生じるため、相続トラブルを未然に防ぐことができます。一方、相続・遺贈は遺言書が無効とされるリスクがあります。

  • 実行の確実性

始期付所有権移転仮登記を利用することで、死因贈与契約の財産移転がより確実に行われます。

 

これらのポイントを踏まえ、死因贈与契約と相続・遺贈の違いを理解し、適切な手続きを選択することが重要です。

 

 

始期付所有権移転仮登記の特徴

始期付所有権移転仮登記とは、特定の条件が満たされた時点で所有権が移転することを保証する仮登記です。これは、親が亡くなった際に自動的に子に不動産の所有権が移転することを目的としています。この手続きを利用することで、財産の移転がスムーズに行なえ、相続トラブルを未然に防ぐことができます。

遺産

始期付所有権移転仮登記の概要

始期付所有権移転仮登記は、贈与者が死亡した時点で自動的に所有権が受贈者に移転することを保証する仮登記の一種です。この手続きにより、所有権の移転がスムーズに行われ、相続時のトラブルを回避することができます。仮登記は一時的なものですが、贈与者の死亡という条件が満たされた時点で本登記に移行します。

 

仮登記の利点
  • 相続トラブルの回避

仮登記を行うことで、贈与者の死亡時に自動的に所有権が移転するため、相続人間の争いを防ぐことができます。

  • スムーズな手続き

仮登記を事前に行っておくことで、贈与者の死亡後に必要な手続きを大幅に簡略化できます。これにより、受贈者は迅速に財産を管理・売却することが可能です。

  • 法的確実性の向上

公正証書を利用することで、手続きの法的確実性が高まり、財産移転の信頼性が向上します。

 

仮登記の制約事項
  • 手続き費用

仮登記および本登記にかかる費用が発生します。これには、公正証書の作成費用や登記手数料が含まれます。

  • 変更の難しさ

一度仮登記を行うと、条件が変更された場合の手続きが複雑になる可能性があります。慎重に条件を設定することが重要です。

  • 法的制限

仮登記は一時的なものであり、贈与者の死亡という条件が満たされない限り、所有権の完全な移転は行われません。また、仮登記が行われている間、第三者への売却や譲渡には制限がかかる場合があります。

 

始期付所有権移転仮登記を活用することで、親から子への財産移転がスムーズに行え、相続トラブルを未然に防ぐことができます。しかし、手続きには費用や法的制約が伴うため、事前に十分な準備と確認が必要です。

 

 

仮登記の申請方法と必要書類

仮登記の申請は、死因贈与契約と始期付所有権移転仮登記を適切に行うための重要なステップです。これにより、親から子への不動産名義移転がスムーズに進み、将来の相続トラブルを回避することができます。

 

仮登記の手続き

仮登記の手続きは、まず死因贈与契約を公正証書で作成することから始まります。公正証書が作成された後、仮登記を申請することができます。申請は法務局で行われ、必要書類を提出することで手続きが完了します。仮登記が完了すると、条件が満たされた時点で自動的に本登記に移行します。

仮登記の登記費用

無料査定依頼

必要書類のリスト

仮登記を申請する際には、以下の書類が必要となります。

  • 登記原因証明情報(死因贈与契約書)

死因贈与契約の内容を証明する書類です。

  • 贈与者の印鑑証明書

発行から3か月以内のものを用意します。

  • 受贈者の住民票

受贈者の住所を確認するための書類です。

  • 公正証書の正本または謄本

死因贈与契約を公正証書で作成した場合に必要です。

  • 登記申請書

法務局での手続きに必要な申請書類です。

 

共同申請と単独申請の違い

仮登記の申請は、贈与者と受贈者が共同で行う場合と、受贈者が単独で行う場合があります。

  • 共同申請

共同申請の場合、贈与者と受贈者が共同で法務局に申請を行います。この方法は、双方の合意が明確に示されるため、手続きがスムーズに進む利点があります。

 

  • 単独申請

単独申請の場合、贈与者の承諾があれば、受贈者が単独で仮登記の申請を行うことができます。この際、贈与者の実印押印と印鑑証明書付きの承諾書が必要です。単独申請は、贈与者が遠方に住んでいる場合や、健康上の理由で一緒に手続きができない場合に有効です。

仮登記の申請方法と必要書類を正確に理解することで、手続きがスムーズに進み、親から子への財産移転が確実に行われます。相続トラブルを避けるためにも、事前に準備を整えておくことが重要です。

 

 

本登記の手続き

仮登記が完了した後、条件が満たされた場合に本登記を行います。本登記を行うことで、正式に所有権が受贈者に移転します。以下では、公正証書による本登記と私署証書による本登記の手続きについて詳しく解説します。

 

公正証書による本登記

公正証書による本登記は、死因贈与契約を公正証書で作成した場合に行われる手続きです。公正証書は公証人によって作成されるため、法的効力が高く、信頼性が高いです。この方法を用いることで、所有権の移転が確実に行われます。

 

必要書類と流れ

もし死因贈与契約書が公正証書として作成され、その中に「死因贈与執行者」の記載がある場合、その執行者とともに本登記の申請を行います。一般的に、死因贈与執行者は受贈者となることが多いため、この場合、執行者と受贈者が同一人物となり、実質的に単独で登記の申請を行うことが可能です。一方、死因贈与執行者の指定がない場合は、相続人全員と共同で登記申請をしなければなりません。相続人全員との共同申請は実務上、多くの場合において困難を伴います(協力してもらえない可能性がある)。

公正証書による本登記には、以下の書類が必要です。

  • 公正証書の正本または謄本
  • 死亡した贈与者の除籍謄本(贈与契約の贈与者が死亡したことを証明)
  • 死亡した贈与者の住民票の除票
  • 執行者の印鑑証明書・実印
  • 受贈者の住民票・印鑑(認印で可)
  • 贈与者が所有していた登記済権利証または登記識別情報通知
    →権利証がない場合であっても、 死因贈与執行者と受贈者が同じであれば、手続は比較的簡単となる。
  • 対象不動産の固定資産税の評価証明書(最新年度のもの)

登記原因証明情報は、公正証書の正本又は謄本となります。
また、当該書面が遺言執行者の権限を証する書面ともなります。

手続きの流れは以下の通りです。

  1. 必要書類を揃える。
  2. 法務局に申請書類を提出する。
  3. 法務局で審査が行われ、問題がなければ本登記が完了する。

法務局

私署証書による本登記

私署証書による本登記は、死因贈与契約を私署証書で作成した場合に行われる手続きです。私署証書は個人が作成するもので、公正証書に比べて法的効力が低いですが、費用が抑えられる利点があります。

必要書類と流れ

私署証書による本登記には、以下の書類が必要です。

  • 死因贈与契約書(私署証書)
  • 死因贈与執行者の定めがある場合、死亡した贈与者の印鑑証明書(私署証書が真正に作成されたことを証明するため)
  • 贈与者の相続人特定のため出生から死亡時までの除籍謄本
  • 贈与者の法定相続人全員の戸籍謄本
  • 贈与者の相続人全員の印鑑証明書+実印
  • 贈与者の住民票(除票)
  • 死因贈与執行者の印鑑証明書+実印
    →死因贈与執行者の定めがない場合は法定相続人全員の印鑑証明書+実印
  • 受贈者の住民票
  • 元贈与者が所有していた登記済権利証または登記識別情報通知
    権利証がなく、かつ、受贈者が死因贈与執行者ではない場合は手続きがかなり難しくなります。
    固定資産税の評価証明書(登録免許税の根拠を示すために必要です。)
  • 対象不動産の固定資産税の評価証明書(最新年度のもの)
       

 

手続きの流れは以下の通りです。

  • 必要書類を揃える。
  • 法務局に申請書類を提出する。
  • 法務局で審査が行われ、問題がなければ本登記が完了する。

本登記の手続きを正確に行うことで、所有権の移転が正式に完了し、受贈者が不動産の正式な所有者となります。公正証書と私署証書の違いを理解し、適切な手続きを選択することが重要です。

 

死因贈与を行う際に絶対にやって欲しいポイント2つ

死因贈与契約を行った後、贈与者が実際に死亡した際の手続きは、状況によって非常に困難になることがあります。これを避けるためには、契約書を作成する段階で以下のポイントに注意することが重要です。

  • 公正証書で作成すること

死因贈与契約書は必ず公正証書として作成し、登記の承諾文を含めるようにしましょう。公正証書は公証人が関与するため、法的な確実性が高まります。例えば、公正証書で作成された契約書は、後に争いが生じた場合でも裁判所で有効な証拠として認められます。これにより、手続きがスムーズに進む可能性が高まります。

 

  • 死因贈与執行者を必ず指定すること

死因贈与執行者を指定することは非常に重要です。もし執行者が指定されていない場合、贈与者の死後に財産を移転するには相続人全員の協力が必要になります。相続人の中に反対する者がいると、手続きが非常に困難になります。例えば、相続人の一人が財産移転に反対した場合、手続きが遅れ、裁判に持ち込まれる可能性があります。これにより、手続きにかかる時間と費用が大幅に増加します。

 

このような事態を避けるためにも、死因贈与契約書の作成時に公正証書を利用し、必ず死因贈与執行者を指定することが重要です。これらのポイントを押さえておくことで、死因贈与の手続きをスムーズに進めることができます。

 

 

不動産売却をスムーズにするためのポイント

不動産売却をスムーズに進めるためには、死因贈与契約と始期付所有権移転仮登記を適切に活用することが重要です。これにより、相続トラブルを回避し、手続きが円滑に進むためのポイントを以下に示します。

死因贈与契約の有効活用

死因贈与契約は、親が子に不動産を譲渡する際の有効な手段です。この契約を活用することで、贈与者が死亡した時点で自動的に所有権が移転し、相続トラブルを防ぐことができます。また、始期付所有権移転仮登記を併用することで、手続きがスムーズに進みます。公正証書を用いることで更に法的確実性が高まり、安心して財産を管理することが可能です。

 

不動産売却の成功事例

実際に死因贈与契約と始期付所有権移転仮登記を活用して不動産売却を成功させた事例を紹介します。ある高齢の方が、自分の所有する土地を子供に死因贈与契約で贈与・譲渡することを考えていました。この際、始期付所有権移転仮登記を行い、贈与者が亡くなった時点でその子供に所有権が移転させること考えて実行しました。実はこの方は、子どもたち兄弟の仲があまり良くない事を知っていたのです。そして、死因贈与契約を結んだ子に、介護という負担をかける代わりに、特定の不動産を贈与・相続させる考えを持っていました。

遺産分割協議書

※ちなみに相続発生後、贈与者であるお父様が心配された通り、兄弟は相続で揉めてしまいました。

 

その後、子供がその土地を売却する際、相続トラブルに巻き込まれる事なくスムーズに手続きが進み、高値で売却することができました。このような成功事例からも、死因贈与契約と始期付所有権移転仮登記の有効性が分かるのではないでしょうか。

 

これらのポイントを押さえることで、不動産売却をスムーズに進めることができ、相続トラブルを防ぐことが可能です。親から子への財産移転を確実に行い、不動産売却を成功させるために、ぜひこれらの方法を活用してください。

 

 

スムーズな不動産売却:死因贈与契約と仮登記の使い方:まとめ

死因贈与契約と始期付所有権移転仮登記は、不動産売却をスムーズに進めるための強力なツールです。これらの手続きを活用することで、相続トラブルを回避し、確実に財産を譲渡することが可能になります。以下に、これらの手続きの重要性と今後の展望、そして松屋不動産販売株式会社が提供するサポート内容について詳しく解説します。

 

死因贈与契約と始期付所有権移転仮登記の重要性

死因贈与契約は、贈与者の死亡時に自動的に財産が受贈者に移転することを保証する契約です。これにより、相続トラブルを未然に防ぎ、確実に財産を譲渡することができます。また、始期付所有権移転仮登記は、条件が満たされた時点で所有権が自動的に移転することを保証する仮登記です。この二つの手続きを組み合わせることで、不動産の名義移転がスムーズに行われ、将来の売却も円滑に進めることができます。これらの手続きは、不動産のプロが推奨する方法であり、法的確実性と手続きの簡便さを兼ね備えています。

 

今後の展望とサポート体制

今後、死因贈与契約と始期付所有権移転仮登記は、不動産売却においてますます重要な役割を果たすと考えられます。高齢化社会の進展に伴い、相続トラブルの防止と財産管理の効率化が求められています。これらの手続きを活用することで、相続人間の争いを防ぎ、スムーズな不動産売却を実現することができます。また、法改正や制度の変更に対応するため、最新の情報を常に把握し、適切なアドバイスを提供することが求められます。

 

松屋不動産販売株式会社のサポート内容

松屋不動産販売株式会社では、死因贈与契約と始期付所有権移転仮登記の手続きをサポートしています。専門のスタッフが、お客様のニーズに合わせて最適な手続きを提案し、書類作成や法務局での申請手続きなどを全面的にサポートします。また、相続に関する相談も受け付けており、相続トラブルを未然に防ぐためのアドバイスを提供しています。さらに、最新の法改正情報や手続きに関する詳細な情報を提供し、お客様が安心して不動産売却を進められるようにサポートしています。

これらのサービスを通じて、松屋不動産販売株式会社は、お客様の不動産売却をスムーズに進めるための最適なサポートを提供しています。不動産売却や相続に関するご相談は、ぜひ松屋不動産販売株式会社にお任せください。

 

 

松屋不動産販売株式会社 代表取締役:佐伯 慶智からの提案

こんにちは、松屋不動産販売株式会社の代表取締役、佐伯 慶智(さえき よしのり)です。本記事を通じて、死因贈与契約や始期付所有権移転仮登記の重要性についてご理解いただけたと思います。これらの手続きを活用することで、親から子への財産移転がスムーズに行え、将来の不動産売却も円滑に進めることができます。

不動産の売却は大きな決断です。しかし、適切な手続きを踏むことで、そのプロセスを安心して進めることが可能です。私たち松屋不動産販売株式会社では、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供し、相続トラブルの回避やスムーズな不動産売却を実現しています。

もし、不動産の売却をお考えであるならば、ぜひ[かんたん自動査定]または[売却査定相談]をご利用ください。これらのサービスは、お客様の不動産の価値を迅速かつ正確に査定し、最適な売却プランをご提案するためのものです。査定は無料で、かんたん自動査定であれば、オンラインで簡単に行えます。

 

私たちの専門知識と経験を活かし、皆様の大切な不動産の売却を全力でサポートいたします。愛知県と静岡県西部において、不動産売買の専門家として信頼される私たちに、ぜひご相談ください。お客様のご要望に応じた最適なプランを提供し、不動産売却を成功に導くお手伝いをさせていただきます。

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